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こんにちは。
今回は福岡を訪れる多くの人が一度は疑問に思うテーマ――なぜ「福岡駅」ではなく「博多駅」なのか?――について掘り下げてみたいと思います。
駅名の由来を知ると、福岡観光もより面白くなるはずです。
「博多」と「福岡」、どちらが古い地名?
まずはシンプルな疑問から。
結論から言うと、「博多」の方が古いのです。
『続日本記』には759年に「博多大津」という港が登場します。
これは大宰府の外港として中国や朝鮮との交易を担い、日本最古の外交拠点の一つでした。
つまり博多は1200年以上の歴史を持つ国際都市なのです。
一方「福岡」という地名が登場するのは、1601年に黒田長政が筑前国へ入国し、拠点を「福岡」と名付けてから。
博多よりもずっと後のことでした。
福岡市か?博多市か?大論争
明治22年、市制施行で「福岡市」が誕生した際、当然のように「市名は博多であるべきだ」という声が市民から上がりました。
- 
	「歴史は博多の方が古い」 
- 
	「国際的にも博多の方が知られている」 
しかし、藩政以来の政治の中心地であった「福岡」が市名に採用されることになります。
当然、博多の人々は納得できませんでした。
痛み分けで決まった「博多駅」
そこで登場するのが鉄道駅の名称です。
「市名は福岡になったのだから、せめて駅は博多に」という妥協策で、駅名は「博多駅」とされました。
さらに面白いのは、市議会での議論。
議員数は博多派17人、福岡派13人でしたが、投票はなぜか13対13の同数に。
最後は議長の一票で「福岡市」が採用され、駅名は「博多駅」となったのです。
こうして街の名前と駅の名前が分かれる珍しい現象が生まれました。
旧博多駅と駅舎の変遷
博多駅の歴史も振り返ってみましょう。
初代博多駅(明治22年)
現在の大博通り沿いに設けられました。
ドイツ人技師の指導のもと建設され、九州鉄道発祥の地として記念碑が残っています。
二代目博多駅(明治42年)
ルネッサンス様式の豪華なデザインで「西国一の駅舎」と称されました。
昭和に入ると映画館や土産物店が立ち並び、にぎわいを見せました。
三代目博多駅(1963年)
都市の急速な発展と輸送量の増大を受けて、現在の博多区博多駅中央街に移転。
新しい交通の要衝として生まれ変わりました。
四代目博多駅(2011年~現在)
JR博多シティとして大規模にリニューアル。
商業施設、ホテル、映画館などが集まる複合施設となり、今では九州の玄関口として国内外の旅行者を迎えています。
屋上の鉄道神社脇には、二代目駅舎のホーム支柱が保存され、歴史の記憶を伝えています。
街歩きで楽しむ「博多駅の歴史」
博多駅周辺を歩くと、歴史を感じられるスポットが点在しています。
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	出来町公園:「九州鉄道発祥の地」の碑が立つ場所。旧博多駅の跡地です。 
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	博多千年門:寺町への入口。歴史探訪の拠点におすすめです。 
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	住吉神社:旧駅舎の支柱が保管されていた神社。駅と地域の結びつきを物語ります。 
観光とセットで立ち寄ると、街の成り立ちにぐっと親しみがわきます。
まとめ ― 「福岡市」と「博多駅」に込められた思い
「なぜ博多駅なのか?」という疑問の答えは、歴史の古さを誇る博多と、政治の中心だった福岡との折衷案でした。
街の名前と駅の名前が違う背景には、住民の誇りや歴史的な歩みが深く刻まれているのです。
次に博多駅を訪れるとき、ぜひその背景を思い出してみてください。
巨大な駅ビルの姿の奥に、130年以上続く「博多魂」が今も息づいていますよ。

✴︎イメージ図